ニキビの重症度はどのように判定すれば良いのでしょうか?

あなたは、自分のニキビの重症度をご存知でしょうか?もしかしたら、自分のニキビの重症度についてご存知ないのではありませんか?
ニキビはれっきとした、尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)という皮膚科の病気で、その重症度は、医学的にきちんと分けられています。
あなたが、きちんとニキビを治そうと思うのであれば、まずは、自分のニキビの重症度を知って、その症状に合った治療を行う必要があるんですよね。
この記事の目次
ニキビの重症度
実は、私が若いころは、自分がニキビに悩んでいる最中でも、ニキビの重症度についてなんて考えたこともありませんでした。
ニキビの数が多いか少ないかという程度の事しか考えていなかったので、ニキビの症状に重症度の区分があるなんて思ってもいなかったのです。
しかし、いろいろと調べているうちに、ニキビにはきちんとした重症度の判断基準が作られているという事を知りました。
さらに、その重症度ごとに、医学的に推奨されている対応方法があり、その対応方法を知る事が、ニキビを治すための近道になるという事に気づいたんです。
当然ですよね、私のような素人ではなく、皮膚科の専門のお医者さんが長年研究した結果の、おすすめの対応方法なのですから、これほど確かなものはありません。
しかし、なんにしても、まずは、あなたのニキビの重症度の判定基準が解らなければ、重症度を知る事は出来ません。
そこで、今回は、あなたのニキビの重症度を判定する方法を、写真付きでわかりやすくお伝えしようと思います。

ニキビの重症度の判定レベルの種類
まず、ニキビの重症度判定については、ニキビの症状の重症度を9つの段階に分類していますので、その内訳を説明しますね。
尚、いまから説明する分類は、私がいちばん信用しているニキビの医学書である、「変貌するざ瘡マネージメント」と「にきび最前線」の内容を、私なりにまとめたものです。
では、最初に、9つの重症度を、症状が軽い順に並べてみます。
以上が、9段階で表した、ニキビの重症度です。
では、症状の分類方法について、まずは簡単に説明してみます。
重症度が最も軽い面皰と、次に症状の重い丘疹・膿疱の重症度
まず、一番軽い症状として、一般のニキビに成長しきる前のごく軽い段階の症状を、重症度のレベル【1】で、面皰(めんぽう)レベルとしています。
面皰レベルの症状を解りやすくいうと、ニキビの種類としては、微小面皰や白ニキビ、そして黒ニキビ程度のもので、未だ炎症を起こしていない程度のレベルです。
そして、次に重い重症度のレベル【2】~【5】は、ニキビが明らかに炎症を起こして膨らんだ丘疹(きゅうしん)や、膿んで膿疱(のうほう)となったレベルです。
このレベルでは、ニキビの存在する個数などを基に、4種類の重症度を設定しています。
その重症度は、軽い方から順番に、ニキビが5個以下の軽傷、20個以下の中等症、50個以下の重症、51個以上の最重症という、4段階の病気の重症度のレベルがあります。
軽傷~最重症の症状全体のレベルは、ニキビの種類としては、赤ニキビ~黄ニキビ程度のもので、主に、既に炎症を起こしているニキビのレベルです。
この、個数の判断については、文章ではわかりにくいので、この後で実際の写真で説明させてもらいます。
病院対応となる、嚢腫・硬結、瘢痕・ケロイド、集簇性痤瘡、劇症型痤瘡
そして、さらに重い症状として、まず、一般にいうところのニキビの状態を通りすぎ、ニキビ跡となってしまった状況のものなどについても、重症度の分類をしています。
まずは、レベル【6】の、肌の表面が凸面に変形してしまった嚢腫(のうしゅ)硬結(こうけつ)のレベルがあります。
次に重い症状としては、レベル【7】の、肌が凹面になってしまったた瘢痕(はんこん)ケロイドなどの病状があります。
このニキビ跡の病状については、本格的な治療については個人での対応はほとんど不可能なので、原則として、皮膚科などの医療機関での治療が不可欠となります。
最後に、ニキビとしての症状が一番重いクラスとして、レベル【8】の、集簇性痤瘡(しゅうぞくせいざそう)、レベル【9】の劇症型痤瘡(げきしょうがたざそう)があります。
これらのクラスになると、肌の症状のみならず、発熱や関節痛になってしまうものもあるので、かなりな重症となり、ニキビのイメージを少し離れてしまいますね。
当然ながら、専門の皮膚科などで、外科的な手術も念頭に入れた治療が必要であり、しかも、至急を有する治療となります。
以上が、症状が軽い順番に示した、9つの重症度の種類です。
ニキビの重症度と対応する治療方法
いままでの説明が、医学的に分類されている、ニキビの重症度の症状を参考にして、症状の重さを9つに分類したものですが、補足で説明をします。
嚢腫・硬結と、瘢痕・ケロイドは、重症度の重い軽いを比較するのが難しいのですが、このサイトでは、わかりやすくするために瘢痕・ケロイドを、より重症としています。
また、集簇性痤瘡と、劇症型痤瘡も、重症度の重い軽いを比較するのが難しいのですが、このサイトでは、わかりやすくするために劇症型痤瘡を、より重症としています。
そして、実は、この9つのニキビの重症度(症状)に対して、医学的に推奨される治療法が、既に検証された上で設定されています。
その治療法は、日本皮膚科学会から委託を受けた皮膚科関係の先生方が編集された、「尋常性痤瘡治療ガイドライン」というニキビ治療のガイドラインに書かれてあります。
そして、「変貌するざ瘡マネージメント」という、古江増隆先生と林 伸和先生が編集された、ニキビの治療技術の専門書には、それを解りやすく整理してくれています。
ただ、ニキビの重症度と、重症度毎の医学的に推奨される治療方法を列記すると、項目が多すぎて非常にわかりにくくなります。
そこで、この記事では、ニキビの重症度についてのみ、それぞれを写真付きで説明して、まずは、あなたのニキビの重症度が簡単に調べられるようにしようと思います。
でも、まず先に、ニキビの重症度毎に推奨される治療方法を知りたい方は以下をご覧ください。

では、これらの重症度の各々の症状を、写真でわかりやすく説明させて頂きます。
参考写真によるニキビの重症度の一覧
それでは、文字で重症度の説明をするのはとても難しいので、以下の重症度を、順番に写真で説明します。
上から下へ向かって、順番に症状が重いものになっていますので、重症度の判定の仕方が解りやすいと思います。
また、当サイト内で、自分で治療出来る範囲の限界点としているのが、【3】丘疹・膿疱-中等症までなので、どの程度の症状なのかも確認しやすいと思います。
では、これらの症状を、写真付きでせつめいします。
【1】面皰
面皰は、ニキビの初期段階の症状で、ニキビになると必ず一度は通過する、通過点となる症状です。
症状としては、目で確認することの困難なほどの小ささの微小面皰の内部に、皮脂などが次第に溜まり、その毛穴が膨らみ、肉眼で確認できる程度の大きさになったものです。
ニキビの種類としては、未だ、毛穴の内部で炎症の起きていない白ニキビや黒ニキビの状態となり、白ニキビの場合は、数日~数週間程度で消えてしまうものもあります。
また、黒ニキビについては、良い時期に上部に内容物を上手に圧出すれば、肉眼ではわからない程度にまで治る場合が多いです。
面皰のレベルは、このように軽い症状ではありますが、まれに、通常のニキビに対する治療法では効果が少ない症状のものが発生することもあります。
それは、病名として、「サンドペーパー痤瘡」や、「マクロコメド」、「サブマリン面皰」などと呼ばれる、非常に治りにくい症状となるものです。
このような症状の場合は、皮膚科でないと治療が困難な場合が多いので、疑わしい場合には、皮膚科で受診する事をお勧めします。
【2】丘疹・膿疱-軽傷
丘疹・膿疱-軽傷は、白ニキビが炎症を起こし、赤ニキビ以降まで悪化した状態の炎症性皮疹の、片顔(顔半分)における発生個数が0~5個程度の症状です。
【2】丘疹・膿疱-軽傷
【引用】変貌するざ瘡マネージメント
【3】丘疹・膿疱-中等症
丘疹・膿疱-中等症は、白ニキビが炎症を起こし、赤ニキビ以降まで悪化した状態の炎症性皮疹の、片顔(顔半分)における発生個数が6~20個程度の症状です。
【3】丘疹・膿疱-中等症
【引用】変貌するざ瘡マネージメント
【4】丘疹・膿疱-重症
丘疹・膿疱-重症は、白ニキビが炎症を起こし、赤ニキビまで悪化した状態の炎症性皮疹の、片顔(顔半分)における発生個数が21~50個程度の症状です。
【4】丘疹・膿疱-重症
【引用】変貌するざ瘡マネージメント
【5】丘疹・膿疱-最重症
丘疹・膿疱-最重症は、白ニキビが炎症を起こし、赤ニキビ状態の炎症性皮疹の、片顔(顔半分)における発生個数が50個以上程度の症状です。
【5】丘疹・膿疱-最重症
【引用】変貌するざ瘡マネージメント
【6】嚢腫・硬結など
嚢腫・硬結は、皮膚が、一般のニキビよりは大き目に軟らかく盛り上がり、赤くなっている状況で、そこを押すとすこし痛みを感じるようなニキビの症状の重いものです。
【6】嚢腫・硬結
【引用】変貌するざ瘡マネージメント
【7】瘢痕・ケロイドなど
瘢痕・ケロイドは、炎症性痤瘡の後遺症として肌に傷跡が残る疾患の症状です。
ニキビ自体を考えると、炎症などの悪化要因は沈静化しているので、痤瘡という病気から考えると治癒したと考える医師も昔はいたようです。
しかし、その発生場所が、ほとんどが顔面に発生することから、患者にとっての精神的苦痛は極端に大きく、QOLの大きな低下が海外でも大きな問題になっています。
【7】瘢痕・ケロイド
【引用】変貌するざ瘡マネージメント
【8】集簇性痤瘡
集簇性痤瘡は、一般のニキビが発生する場所と多少異なり、頬や顎、うなじから背中の上部や、肩や上腕部に発生し、ほとんどの場合、重症となる瘢痕を残す症状です。
【8】集簇性痤瘡(背中一面)
【引用】変貌するざ瘡マネージメント
【9】劇症型痤瘡
劇症型痤瘡は、現在、痤瘡のもっとも重症のタイプとされています。
重症となる痤瘡の皮疹に加えて、発熱や関節痛や全員倦怠感など、ニキビとは思えない重症の症状を示し、また、通常の痤瘡の治療では効果が少ないのも特徴です。
【9】劇症型痤瘡(頬)
【引用】変貌するざ瘡マネージメント
あなたのニキビの重症度
如何でしょうか、あなたの今のニキビの重症度は判定が出来ましたでしょうか?
あなたが、自分のニキビを治したい場合には、はっきりと、今の自分のニキビの重症度を理解する必要があります。
ニキビの治療の基本は、
この3つを順番に行う事が原則となります。
つまり、ニキビを治そうとする場合には、まずは、この重症度の判定が一番最初の作業になります。
そして、ここで間違ってしまうと、いくらケアや治療を行っても、期待する効果が得られない事が多いのです。
また、医学的には、この9つのニキビの重症度(症状)に対して、効果の確認された推奨される治療法が設定されているのです。

当然、ニキビに影響する要因は多いため、その治療法だけで治るわけではなく、他にも、あなたに適した治療方法をいくつか組み合わせる必要もあります。
まずは、あなたのニキビの重症度を判定して、症状に合った治療方法や予防・ケアの方法を見つけて、早くニキビの悩みから解放される事をお祈りいたします。
ニキビの重症度はどのように判定すれば良いのでしょうか?
いかがでしょうか、ニキビの重症度の判定方法は、理解いただけたでしょうか?
あなたが、ニキビの重症度の判定について、初めてご覧になったのであれば、嚢腫・硬結、瘢痕・ケロイド、集簇性痤瘡、劇症型痤瘡などは、驚かれたのではないでしょうか?
私も、いろいろ調べていて、自分などよりもはるかに症状の重い方がおられることを知り、かなり驚きました。
それと同時に、ニキビのごく初期の症状であっても、たかがニキビなどと考えないで、きちんと対応することが大事なんだと、つくづく感じました。
では、最後にもう一度、9つの重症度を症状が軽い順に並べてみます。
以上が、9段階で表した、ニキビの重症度です。
このサイト内で、幾度も説明していますが、自分で多少なりとも対応が可能なのは、せいぜい【3】「丘疹・膿疱-中等症」程度の症状までです。
【4】「丘疹・膿疱-重症」程度の症状以上の方は、出来るだけ早く皮膚科で受診をしていただきたいと思います。
いずれにしても、後で瘢痕などが残るような事のないように、常にニキビは肌の病気だという意識を忘れないでいてほしいと思います。
そして、自分のニキビの重症度をきちんと理解して、治療に取り組んでほしいと思います。
アクネちゃんより♪
ニキビの重症度の判定は大切ですが、実は、もう一つ大切な事があります。それは、ニキビに良く似た病気と勘違いしないようにする事です。
実は、口囲皮膚炎、毛包炎、マラセチア・・・などなど、ニキビに見た目が良く似た病気もあるので注意が必要ですね。🙄